キリンチャレンジカップ2016
【マッチプレビュー】
リオ五輪に向け、国内での最終戦。相手は同じく本大会に出場する南アフリカ。
日本は地理上、どうしてもブラックアフリカとの対戦経験が不足する。本大会でもナイジェリアを相手にすることは決まっているので、不足した経験を補う意味で意義が大きいマッチメイク。
一方で選手にとって最後のアピールの場であるという一面もある。この試合で五輪が終わってしまう選手もいれば、続いていく選手もいる。いずれにせよ悔いのない戦いを。
フォーメーション&試合結果
U23日本代表 |
3-1 1-0 |
1 |
U23南アフリカ |
強化試合は前半20分まで
正直なところ語るべき点が少ない試合ではあった。というのも実質的な強化試合としては前半20分程度で終わってしまったからである。
その前半20分間、日本は相当にバタついた。南アの圧力が予想以上に強かったため、面食らったことが原因かもしれない。もしくは最後の選考の意味合いを含むこの試合に際し、動きが硬くなってしまったことが原因かもしれない。
いや、選手の年齢や舞台の大きさを考えれば、少なくとも後者は大なり小なり全ての選手に影響を与えたことは難くない。
いずれにせよ、開始20分、日本はバタついた。バタついたとは具体的にどういうことか。とにかくボールが網にかからない。チャレンジしてはボールを奪えず、守備の連動性もどこかぎこちない。
日本は地に足がつかないような状態で序盤を過ごしたといえる。南アの力押しに押すような攻撃をいなせず、腰が浮いた状態で受けきってしまった。
結局、前半30分に日本は失点する。しかし、この失点はいい。しょせんは不運な判定ともいえるPKによる失点だ。ただ、この序盤でそれ以外に失点を喫しなかったことは、幸運という他ない。そんな序盤を日本は過ごしたのである。
南アの失速
試合は前半20分を過ぎた。このあたりから南アの力はガクンという音を立てるように落ちた。
もちろん序盤を飛ばし、相手を引かせた上で徐々にペースを落ち着けるといった配分はサッカーの定石ではある。ただ、南アの落ちようは、それ以上に急であったように思う。
この急落と時を同じく日本は攻勢に出る。そして、前半終了間際まで次々と得点を重ねた。時を同じく、と書いたが、もちろんそこには完全な因果関係が成立している。更に補記すれば、この時点での南アの力量はアジアレベルと断言してもいい。
確かに狙いとした裏への抜け出しは幾度と無く成功した。しかし、繰り返すが、それは必然と言っていい。南アのディフェンスラインはあまりに拙く、ラインと呼ぶには気が引ける凹凸を作っていた。
ただし、それが選手の活躍を貶めるわけでも、当然にない。冒頭に書いた通り、選手にかかる物理的ではないプレッシャーは極めて大きい。そして、それを受けながら結果を出すことは容易なことではない。それ故、活躍した選手に一定の賞賛は与えてもいい。
しかし、再三書くように、本大会における力量は見極めがたい試合ではあった。
本大会メンバー予想
U23の試合は僕の中では採点対象としている試合である。が、前述した通り、内容が内容なのでそれはやめた。
代わりに明日発表される本大会メンバーを予想してみたい。もちろんこの段になって予想といってもそう難易度が高いわけでもないし、さして面白みもない。
それでもここに予想を書くことで、これまでU23代表を見てきた一人のサポーターとしてのそれぞれの選手に対する思いを残しておきたい。そういう意味が大きい。
ゴールキーパー
櫛引、中村で間違いない。個人的には反応に優れる中村を正GKに推したいが、これまでの様子をみると櫛引が第一GKかもしれない。
センターバック
植田、岩波を予想する。そこにOAの塩谷。奈良が怪我をしなければOA起用を考えなくても良かったと思えるが、それは詮がない。岩波は怪我を抱えたままだが、塩谷がいることを勘案すれば、回復見込みのリスクは負ってもいい。
サイドバック
室屋。加えてOAの藤春。左を主戦場とする亀川も本来は呼ばれてしかるべき選手である。しかし藤春を呼んだ以上、重複感は免れない。亀川も含まれるが、SBにこれほどまでに怪我人が続出しなければ展開は変わったようにも思う。OAは呼ばれず、同世代間での競争であったはずだ。そうなれば亀川に当確のランプがついていたであろう。が、本人以外の怪我が選出を左右するなど運命の綾というものを感じさせる。
ボランチ
遠藤、原川、橋本。遠藤は確定としても、原川、橋本は好みでしか無いかもしれない。特に原川は顕著で、これまでの実績や起用をみていれば大島が優勢だと言える。ただ、大島はパスセンスには溢れるものの、フィジカル勝負で消されることも多い。個人的な願望、希望も込め、比較すれば原川が勝ると思いたい。
橋本は滑り込みとも言えるが、やはりフィジカルと守備力、そしてボランチ以外もこなせる器用さは大いに魅力的である。
攻撃的ミッドフィルダー
南野、中島、矢島、富樫。前者の3人は確定と言える。その中でも特筆すべきは矢島である。最終予選から最も成長した選手だと感じる。
如才は無いが、器用貧乏のイメージであったが、その如才の無さに凄みが加わってきた。言い換えればそれはゲームを読む目が育ってきたとも言える。
そして富樫。これも個人的な好みかもしれない。ところどころにJ基準を越えるプレーを散見させるスケールがある。これまでの実績、扱いを考えれば豊川という選択肢も有り得るが、ここは是非とも富樫を押したい。
フォワード
久保、浅野。そしてOAの興梠。正直なところFWの選択肢は少ない。単純に上からチョイスすれば、自然と久保、浅野となる。しかし、そうだとしてもレベル的には最も物足りないポジションとも思える。ここは浅野に一皮けてもらいたい。そして、その雰囲気は徐々に醸成されつつあるようにも感じる。
あとがき
ブラックアメリカ相手に予想以上の快勝。ただ、記事でも書いた通り、本大会に向けては参考にならないように思います。正直なところ、本大会出場チームということでもう少し歯ごたえのある相手を予想したけど、様々な諸条件を勘案すれば仕方なしか。
それにこの結果を受ければ、南アが開催国ブラジルと一緒のグループってことが「そういうこと」ってことにも思えるよね。
当然ナイジェリアは間違いなく南アより強く、そんな相手にU23日本代表がどんな試合をするのかは楽しみですけどね!
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