ノックアウトラウンド、準決勝。
準々決勝を勝ち上がり、アジアベスト8の壁を初めて破ったリオ世代。
準決勝では、一度も勝利を奪ったことがないイラクが立ちはだかる。
過去、3度の対戦成績は全て敗れている現実を考えるとハードルは低くはない。
しかし、この試合をものにすれば、リオデジャネイロオリンピックの出場権を手に入れることができる大一番。総力戦が予想される。
日本 |
フォーメーション
試合寸評
タフな展開となった試合。
内容的には大味だったが、勝利で全てが報われた。
前半、日本は良い立ち上がりを見せる。
ボール保持率は高くはないが、相手ボールになろうとも落ち着いて対応する。選手同士の距離感は良く、効果的なプレスとマーキングでイラクに思うようなゲーム運びをさせない。
そんな流れの中で見事なカウンターから先制点が生まれる。
自陣深い位置から、鈴木、久保が2人で攻撃を作り、しっかり決めるところまで持ち込んだ。
その後も日本が試合をコントロールし、追加点を奪えばイージーな試合かと思われた。
日本がいくつかのチャンスを逃し、迎えたイラクのCK。力でねじ込まれる。
ここから状況が混沌とする。
思うような試合運びができていなかったイラクは息を吹き返した。
後半開始から日本は大きく押し込まれ、防戦一方。
15分を過ぎたあたりから少し落ち着くも、すぐに荒い展開になる。
日本の選手間の距離が間延びし、イラクのドリブルと高さに振り回される展開が続く。
日本も蹴り合いに応じてしまい、ボールはめまぐるしくピッチを行き来する。
この間、いつ日本が失点してもおかしくない大味な試合状況。
しかし、後半終了間際、南野が一瞬のきらめきを放つ。
右サイドで相手を振り切り、クロスをあげる。こぼれ球を原川が押し込み、日本が勝利をもぎ取った。
選手採点
GK 櫛引 政敏 6.5
失点も含め、鬼神のようにイラクに立ちはだかった。
気迫溢れるプレーでゴールを守った。
DF 植田 直通 7.0 【MOM】
日本がこれまでセットプレーからの2失点だけに抑えているのは彼の活躍が非常に大きい。
この試合も高さのあるイラクを制し、淡々と冷静な守備でピンチを未然に防いだ。
DF 奈良 竜樹 6.5
これまでの試合で最も出来が良かった。
ピッタリとイラク選手をマーキングし、自由を与えなかった。
ただし、いつものように不用意なミスもいくつか見られる。
DF 山中 亮輔 6.0
及第点。豊富な運動量で守備が光ったが、ミスもそれなりにあった。
攻撃は精彩を欠くことも多かった。そろそろ疲れが出ているか?
DF 室屋 成 7.0
これまで試合で完璧なクロスを数本見せていたが今回は皆無だった。
ただ、守備では最後まで運動量を惜しまず、ピンチを救う場面が多々見られた。
MF 遠藤 航 6.0
的確にカバーリングをこなし、ポイントでの守備は流石だった。
それでもキャプテンとしてチームを引っ張るプレーが出来ていたかと言えば、攻撃の物足りなさもあり、不十分だと感じた。
MF 原川 力 6.5
値千金の決勝ゴール。
試合中はミスもあり、大きな存在感を発揮できなかったが、90分で決着をつける大きすぎるゴールだった。
MF 中島 翔哉 5.5
試合を通して、これまでのようなボールの収めどころになれず、パス、ドリブルもかなりの数、引っ掛けた。
120分の戦いの後だけに、流石に疲れが見える。
MF 南野 拓実 5.0
調子の上がらない中島と比べても存在感がなかった。
それでも一瞬のキレをみせていたため、監督は1プレーで試合を決めることを期待し、交代とならなかったのだと思う。決勝点の起点になることで、最低限の責務は果たしたか。
FW 鈴木 武蔵 6.0
無念の負傷交代も、先制点をアシストしたプレーは見事だった。
ただ、全体的にプレーの精度はあまり良くなく、出来はいまひとつだった。
FW 久保 裕也 6.5
先制点も素晴らしいが、今日はボールが良く収まり、周りもよく見えていた。
後半になるに従い、プレー精度が落ちてきたところで交代。
DF オナイウ 阿道 5.5 (後半22分)
体と張ったプレーを見せた。
全てのボールをおさめられたわけではないが、難しいボールをキープすることもあり、一定のチーム貢献は成した。
FW 浅野 拓磨 5.5 (後半33分)
いつもどおり、裏へ走りこむことで一定の脅威は与えた。
ただし、これまで同様、Jリーグで見せているようなゴールへの迫力はない。
FW 豊川 雄太 採点なし (後半50分)
監督採点
手倉森 誠 6.5
同点までは思惑通りの試合運びだろう。
それ以降は、イラクの攻撃に対し、効果的な対策ができず、勝利は幸運による部分も大きかった。