今年も開幕前の哨戦、ゼロックススーパーカップが開催されました。
Jリーグ王者サンフレッチェ広島と天皇杯覇者ガンバ大阪というカード。どちらも継続してチーム作りをしているため、いい試合が期待できそう。
試合全体の感想
両チームの完成度が高く、ミスが少ないため、レベルの高い試合。
開幕前ということを考えるとコンディションも上々。今年はACLのグループリーグも見据え、早めに仕上げてるんでしょうかね。
サンフレッチェ広島
チーム力は広島のほうが1枚も2枚も上手でした。
チームとしてのボール保持力が高く、「奪われなければ攻撃されない」をほぼ完璧に体現。前半の支配率が61%に達したことがその証左でしょう。
とにかくボールを大事にする。やたらにロングボールでクリアせず、丁寧に繋ぐ。選手間のフォローがうまく、常にパスコースがある。個々の能力が高く、自陣で相手に囲まれた厳しい場面でもよくボールを繋げていた。
これが個人能力の高い中国のチーム、ゴリゴリあったってくる韓国のチームあたりにも機能するのか。広島には、JリーグチャンピオンとしてACLに大いに期待したいです。
ガンバ大阪
スコア的に完敗もパナソニックカップから状態が悪くなったわけではない。引き続き攻撃陣の連携向上を模索しているようで、「絶対に勝つ」という方針ではないのでしょうね。あくまで連携の向上と来週以降の試合を優先している様子。
まあ、ぶっちゃけて言うとパナソニックカップのほうが気合が入ってたように思います。
今のガンバを見るとチーム力の伸びしろは、アデミウソン、藤本の融合が一番手っ取り早い。まだまだビタッときていないようなので、期待はできるか。
森保監督
改めて森保監督、凄いっすね。
メンバーを見ると総合力で一流という選手は少ないように思う。それをこれほどのチームに仕上げる「選手の能力を活かしきる戦術」。全選手が迷いなく、自分の能力を全面に出し、プレーする姿は単純に見ているだけで面白い。心配されたドウグラスの穴は感じさせず、ウタカも馴染んでいる様子。
それと長期的な視点で選手を起用できる点。
それができるからこそ、若手は頭角を現すし、他チームで力を発揮しきれなかった選手は輝き、自信を持ってプレーできる。
きっと選手に対するハードルの設定が抜群にうまいんでしょう。今シーズンは10番を背負った今日の浅野の顔つきなんか見てると、そう思えてくる。
東京五輪の監督に就任し、その後W杯ふたり目の日本人監督に就任、なんて道を進んでくれないもんかなー。
トラッキンデータを見てみる
公式サイトで Liveトラッキングが見れたので、眺めながら観戦しました。数字からチームが見えるようで面白い。トラッキングデータだけでチームの特徴をまとめてみました。
ガンバ大阪
トップのパトリック(長沢)は広範囲に動き、前線に張り続けない。頻繁に中盤に顔を出しつつ、2列目と絡み、リズムを作る役割を担う。ヒートマップでよく分かります。宇佐美、アデミウソン、阿部も比較的ポジションが自由で前の4人で攻めていく戦術になっている。
ちなみにアデミウソンはスピードあり、運動量あり、スプリントも多めと非常にバランスが取れたスタッツ。やはり改めていい選手ですね。
中盤の底を担う遠藤、井手口の二人も中盤を中心に行動範囲が広い。特に井手口の運動量は両チームの中でもトップ。狂犬のように追い回すプレーは一定以上の効果を上げていた。このスタイルを追求していってほしいなぁ。
少し残念なのがサイドバック。ヒートマップを見るとセンターラインそこそこまでは頻繁に上がるものの、敵陣深くまで侵入できない様子が伺える。
やはりポジションチェンジを多用した中央の攻撃が強み。中盤の底も運動量が豊富で効果的に機能している。守備は中央のセンターバックのふたりを中心に、井手口、両サイドバックがフォローしていくスタイル。
サンフレッチェ広島
ミキッチ、柏はタッチライン際を綺麗に移動している様子が伺える。2シャドーも担当するサイドを活動の中心にしていることから、ミキッチ+柴崎、柏+茶島の2ペアによるサイド攻撃が強み。
ボランチも行動範囲が広く、攻守への効果という意味では、ガンバと甲乙つけがたい。特徴的な3バックは、ガンバ大阪より明らかに前方向への動く範囲が広く、攻撃において貢献度が高い。
まとめ
トラッキングデータを見ながら初めての観戦。これ、面白いね。スカパーのアプリでもリーグ戦で同等の情報が見れるそうなので、観戦の必需品になりそうです。
さて、試合自体は、かなりレベルが高く、今シーズンが楽しみになる良試合。来週はいよいよ開幕ですね。