2016Jリーグヤマザキナビスコカップ グループステージ 第3節
ナビスコカップ、開幕から2連敗の名古屋は第3節にして予選敗退の危機。各グループ上位2チームが予選突破という厳しいレギュレーション。近年のボーダーラインを見ると二桁勝点が必須。ここで敗れれば残りの3試合を全勝しても届きません。また、リーグ戦から中3日の厳しい日程でもあります。
名古屋は公式戦3連敗中。当然ですが負ければ4連敗です。段々とプレッシャーが大きくなり、立て直しに大きな労力が必要になる可能性もあります。連敗中であること、試合内容が極端に悪いわけではないこと、その2つから考えれば特効薬は「勝利」という結果だと思います。毎試合あと1歩、2歩ぐらいの差。勝利に届かない差ではないと思っています。
フォーメーション&試合結果
名古屋グランパス |
1-0 0-3 |
3 |
鹿島アントラーズ |
好調な前半、連敗脱出の光明が見える
名古屋はリーグ戦からほとんど選手を入れ替えず、ほぼフルメンバーの4-4-2で迎え討つ。中盤は不在のイ・スンヒに代わり明神、CBはオーマンと大武がコンビを組む。鹿島は中盤の柴崎に代えて永木、トップの金崎に代えて土居がスターティングメンバーに名を連ねた。どちらも公式戦ここ3試合勝利がない。波に乗り切れないチーム同士の戦いと言える。
前半は名古屋が優勢。名古屋は選手間のバランスが良好だった。いい形でボールを奪うことも多く、カウンターから何度かチャンスを作る。一方の鹿島はボランチと前線の距離が遠く、前線にいいパスがなかなか供給できない。唯一危険なのは、サイドからのカイオの突破。抜群の個人技を見せつけた。ただ、前半の鹿島は、それほど危険なチームではなかった。
名古屋が優勢だった要因は右サイドの攻撃にもある。ある程度左サイドでボールを回し、大きなサイドチェンジから右サイドを突破する。前半、古林が幾度と無くチャンスを作った。左サイドのカイオがあまり守備をしないこと、そして守備の時、左サイドバックが中央にポジショニングを取ること、この二つの理由から鹿島の左サイドは比較的手薄となっていた。相手の弱点を分析し、しっかりとした狙いを持って試合に入る小倉監督らしい采配。
前半38分、名古屋はセットプレーから先制点を奪う。この試合絶好調の田口がFKでゴール前に絶妙なクロス、ボールは野田の左足にピタリと合い、ゴールに吸い込まれた。セットプレーの迫力は徐々に増してきているように思う。
完敗、プレッシングが機能しない理由
後半開始から鹿島は2枚のカードを切る。ボランチに柴崎、左サイドに鈴木を投入。左サイドのカイオは2トップの一角にスライドした。後半開始から2人の選手を入れ替えることは先発の選択が誤っていたことを認めるようなものだが、結果、狙い通りに鹿島は立ち直ったのだから石井監督の采配は的確だった。選手間の距離は近くなり、左サイドの守備もタイトになった。
後半7分、ゴール前で大武が遠藤のシュートフェイントに綺麗に引っかかり、万事休す。遠藤は楢崎との勝負を制し、鹿島が同点弾を突き刺した。遠藤にとってチャンスではあったが、決定的なチャンスではなかっただけに対応が悔やまれる。その後も21分、26分と失点を重ね、気付けば1-3の敗戦。選手交代によって隙がなくなった鹿島に完敗した。
名古屋は徐々に運動量が落ち、プレッシングが機能しなくなった。選手間の距離が離れ、鹿島にいいようにボールを回されてしまった。もちろん鹿島のパス回しが上手かったことも事実だが、名古屋の選手は守備時の反応が鈍かった。加えて、カイオの飛び出しにも全く対応できず、3失点以上も十分あり得た。
これまで組織だった守備を構築してきた名古屋だが、機能不全に陥った原因は運動量の低下だろう。ひとつに連戦による疲労蓄積、ローテーション出来る選手層を持たないため、連戦の影響が大きい。そしてもうひとつ、これは推測でしかないが、キャンプでの体力づくりに失敗しているのではないだろうか。というのも小倉監督の練習は時間が短いと聞く。シーズン前のキャンプで十分な負荷が不足していた場合、体を作りきれず、シーズン中に運動量が低下することはよくある。
採点(名古屋グランパス)
GK 楢崎 正剛 5.5
難しいのは承知のうえで同点弾の股抜きは防いでほしかった。それ以外はいつもどおり安定の出来だったが、フィードの精度はやはりもう少しほしい。
DF オーマン 5.5
後半、カイオに散々振り回された挙句、2枚のイエローカードで退場。ただ、オーマンひとりの責任ではない。クイックネスに優れていないのは確かだが、だからこそチームで守る必要がある。相変わらず頼りになる部分も見せていたため、この採点とした。
DF 大武 峻 5.0
遠藤の同点弾における対応は痛恨。完全に個人能力の差で決められてしまった。悪い選手だとは思わないが、ギリギリのところで防ぎきれないところを見るとどうしても限界を感じてしまう。
DF 安田 理大 5.0
攻撃は鹿島の守備にほぼ抑え込まれた。それでも何度か攻撃に絡んだがクロスの精度が悪く、チャンスを潰した。守備も淡白な対応をすることが多く、いい部分はほとんど見せられなかった。
DF 矢野 貴章 5.0
運動量はあったが、パスやクロスの精度は相当に悪かった。また、特に前半はサイドの攻防でカイオを止められず、後手に回り続けた。開幕当初に比べ、体のキレがだいぶ悪いように思う。
MF 田口 泰士 7.0
この試合のグランパスの選手の中で群を抜いて出来が良かった。運動量も豊富で守備でもチームを助けたが、なんといってもパスの精度が高かった。中、遠距離のサイドチェンジを何度も通し、チャンスを作り続けた。また、FKでも素晴らしいボールを供給し続けた。
MF 明神 智和 5.0
運動量豊富に守備に奔走した。ただ、あまりにも簡単に振り切られる部分が目立ち、田口に余計な負担を背負わせているように思う。次節からイ・スンヒが帰ってくるのでバックアッパーに戻るだろう。
MF 古林 将太 6.5
前半、右サイドから何度となく好機を作った。ただ、クロスの精度が悪く、いくつかチャンスを潰した。とはいえ名古屋の中では数少ない存在感を示した選手なので、やや高めに採点した。
MF 永井 謙佑 5.5
ここ最近と同じくほとんど活用されなかった。使われる選手なので良いボールが入らないと厳しい。鬼プレスの発動率も下がっており、疲れもあるのかもしれない。難点をあげるならば安田とのコンビネーションがあまりないこと。相性が悪いのだろうか。
FW 野田 隆之介 6.5
先制点を奪う活躍。前半、名古屋が上手くいっていたのは野田の働きによるところも大きい。特に運動量豊富に動きまわり、選手間の距離を埋めた。とは言え、交代までそれが持続したわけでもなく、何度かの決定的チャンスも外した。ただ、最後の詰めの精度が上がれば大きな戦力になりそうな予感は漂う。
MF シモビッチ 6.0
昌子、植田という代表クラスを相手にしても、それなりの仕事をした。決定的な仕事をしたわけではないが、ターゲット役としてやるべきことはやったという印象。ただ、以前より運動量が少なく、キレも落ちているように見えるのは気になる。
FW 川又 堅碁 6.0 (67分~)
仕事は出来なかったが名古屋の中では数少ないキレを見せた選手。ボールを落として裏に走るという動きに可能性を感じさせた。そろそろこの男の出番かもしれない。
DF 小川 佳純 採点なし(78分~)
FW 小屋松 知哉 採点なし(81分~)
監督 小倉 隆史 5.0
前半は狙い通りに試合を進めることが出来たが、後半は有効な対策を講じることが出来なかった。そろそろ連敗によるプレッシャーが強くなってくる頃合い。何かしら良い兆候を見せてほしい。
最後に
4連敗ですか。出口の見えないトンネルに入り込んでいないことを祈ります。つい1ヶ月ほど前までチームの好調に喜んでたんですけどね。。。
気になるのは2失点目、3失点目の選手の表情。みな諦めきったような表情に見えました。逆転負けが続いたからでしょうか。選手は連敗は気にしていないようだ、と中継でも言っていたので気のせいであればいいのですが。
ナビスコはほぼ敗退が決定しましたが、リーグに注力し、立て直して貰いたいところです。消化試合となる残りの試合は若手に経験を積んでもらいましょう。
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