紅蘭波主(グランパス)さん ~サッカー好きシステムエンジニアの観戦備忘録ブログ~

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【プレミア 34節】奇跡の優勝なるか?レスター・シティ vs ウェストハム・ユナイテッド(感想)

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Barclays Premier League 第34節


【マッチプレビュー】

たまには世界のサッカーも見なきゃね。ってことでNHK BSで放送していたレスターvsウェストハムを観戦しました。生では無いけど、割りとタイムリーな放送。

 

プレミアは追っかけてるわけではないけど、岡崎がいるおかげで状況は把握済み。レスターは2位トッテナムに勝ち点差7、残り試合は5試合。果たして奇跡の優勝はなるか?という状況です。

 

それにしてもプレミア、ブンデス、セリエと生はないけど、幅広くフォローしてくれるNHK BS、好きです。

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レスター・シティ

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2

1-0

1-2

2

ウェストハム・ユナイテッド

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戦術の完成度が高いレスター

4-2-2-2のレスター。戦術は一言で言えば、カウンター。自陣深い位置からスタートするロングカウンターもあれば、相手陣内で発動するショートカウンターもある。特に後者はレスターの代名詞とも言える強烈なプレッシングから発動することが多い。攻守の切り替えの速さ、運動量、決定力の高いFW、堅固なDFライン、優秀なGKとおよそカウンターに必要な要素を全て取り揃えているチーム。

 

一方のウェストハムは4-3-2-1。特定のパターンを狙うというより、ポゼッション、カウンター、中央、サイドと色々なパターンをそこそこ上手く実践出来るような印象。1トップに入るナイジェリア代表FWエムニケのポストプレーを起点に攻める。

 

エムニケは、ディフェンスラインと中盤の間にポジションを取ることが多く、うまくポストプレーをこなしたが、そこから先のゴール前をレスターはやらせない。うまくボールを奪えれば前線のバーディー、岡崎にロングボールを供給し、カウンターが発動する。

 

試合はレスターペース。お互い激しい守備でボールを奪い合うため、ボールは行き来するものの、レスターのディフェンスは戻りが早く、ゴール前においしいスペースを作らない。ポストプレーまでは上手くいくが、その後のゴール前の展開でフリーな選手がおらず、ウェストハムは手詰まりとなる。レスターの守備は固い。

 

レスターが土壇場で追いつきドロー

前半18分、レスターが先制する。GKシュマイケルのスローイングからレスターがロングカウンターを仕掛け、得点。相手のセットプレーを防いだ後のGKからのカウンター。お手本のようなカウンターだったが、ウェストハムの戻りは遅かった。レスターの攻守の切り替えが早いだけに大きな差を感じた。

 

それにしてもバーディー。あれだけ走ったあとにゴール前で落ち着いてシュートを決められるエースの力は流石。簡単に決めているように見えるが、チャンスを確実にゴールを決めれる選手はJではそうそうお目にかかれない。レスターは非常に理想的な展開で前半を終える。

 

打つ手がないと思われたウェストハムだったが、後半10分、バーディーの退場で状況が変わる。数的優位になったウェストハムはゴール前へ人をかけ、圧力を強める。それに対してレスターの守りは腰が引けてしまった。守備ラインがズルズルと下がり、ペナルティエリアの前に危険なスペースを空けてしまう。FWが1枚少なくなったことで前線の守備力が弱まったとはいえ、多分に精神的な問題で、受けに回ってしまったことが原因だと思う。レスターは耐え切れず、83分、86分と立て続けに被弾して逆転を許す。逃げきりが見えてきた終盤での連続失点。レスターにとっては非常に厳しい状況に追い込まれた。

 

しかし、ロスタイム、レスターがPKを獲得し、なんとかドローに持ち込んだ。PKの判定自体は微妙なものだったので、ラッキーだった。この試合、終盤の逆転劇で負けていればダメージは大きかった。まだ勝ち点差があるとはいえ、優勝目前の足踏みは、良くあること。何かをきっかけに簡単にプレッシャーに絡み取られてしまう。その可能性を排除できたという意味で大きなドローだった。

 

岡崎の役割

岡崎は絶対に外せない選手かと言われれば、そこまで絶対的な存在ではない。ただ、与えられた役割はしっかりこなせており、間違いなくレギュラーには相応しい。日本のメディアでは岡崎絶賛という記事も頻繁に見るが、少し割り引いて考えた方がいいように思う。

 

その岡崎の役割は、大雑把に言うと2つ。攻撃で「バーディーに点を取らせる」こと、そして守備で「前線のファーストディフェンダーとなる」こと。

 

まず、攻撃の役割。バーディーに点を取らせるということは、必ずしも直接的にアシストすることを指さない。DFを引き付ける、ロングカウンターの最初の起点になる、ゴールに至る前の、さらの前のパスを引き出す。地味な役回りが多いが、バーディーの能力、つまり決定力を最大限に引き出す最良のパートナーとみなされているのだろう。

 

正直なところ、岡崎に得点力はほとんど求められていないのでは、とさえ思う。実際、パスの出し手の最優先順位はバーディーで、岡崎がより優位なポジションを取っていても、そうそうパスは回ってこない。ただし、これは当たり前で多少無理なシチュエーションでも得点を決めてきたバーディーの実績が信頼されている結果だ。

 

FWで出場している以上、岡崎は点を取る必要があるが、今のチームで量産は難しいだろう。今シーズンは与えられた役割をしっかりこなしているので、文句を言われることは絶対にないが、来シーズン以降、監督が代わりでもすれば、途端に出場できなくなることも考えられる。

 

Jリーグとの差

レスターが天下のプレミア首位を走るチームに相応しいかどうかは、わからない。ただ、当たり前のことをサボらずやれば、ここまで強いチームになるという証明をし続けているように思う。

 

攻守の切り替えの早さ、前線の守備、リトリートして、しっかりとした守備ブロックの構築。戦術的には難しいことはしておらず、豊富な運動量、選手のストロングポイントを活かした役割、個々の選手の基本技術の確からしさ、そんな要素で支えられたチームは戦術がシンプルなだけに、かなりの完成度を誇る。

 

レスターに真にスーパーな選手がいない。それだけにJリーグでも近いレベルのチームは作れるのではないか、と思ってしまう。パススピードや当たりのハードさ、スキルの正確性など、当然差はあるが埋めがたい差だとは思わなかった。

 

ただ、いくつかそうそう追いつけないと思った差もある。ひとつはセットプレー。特に直接フリーキックではなく、ゴール前の選手に合わせるCKやFKだ。ゴールへの期待感が大きく異なる。これはレスター、ウェストハムどちらにも言えるが、とにかく点が入りそうな期待を抱かせる。Jのセットプレーはここまで期待感を持たせないように思う。

 

日本代表においてもセットプレーの得点力が問題になっているが、「局面の駆け引き」が日本人は少し弱いのかもしれない。いわゆるかつてよく言われた「マリーシア」に近いものだと思うが、この辺りはなかなか変わるものでもない。

 

もう一つは、選手全員がサッカーを良くわかっているということ。攻め急ぐ必要がない場合は、無理に攻めない。チャンスと見れば自分でリスクを負って前に出る。そんなプレーがどの選手も出来る。ご存知のように日本人でも「わかっている選手」はいる。ただ、遠藤保仁や小笠原満男、中村俊輔のような見る目を持った選手だけで、ごく一部の選手だ。特にレスターは、殆どの選手がゲームの流れを把握し、的確な判断ができていた。

 

最後に

この試合を見て思った感想は、Jリーグはまだまだ向上できる、ということ。真に追いつくにはかなり時間はかかるでしょうが、いいところまで近づくぐらいならば、可能だと思いました。

 

まずは、激しいあたりに代表されるテンションの高い試合を増やしていってほしいですね。これ自体はすぐにチャレンジできるのですから。

 



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