明治安田生命J1リーグ セカンドステージ 第9節
【マッチプレビュー】
すっかり忘れていた。リーグ戦では関東圏最後の試合だったので、生観戦するつもりが、すっかり忘れていた。特段に予定もなかったので行くには行けたが、すっかり忘れていた。
これはもう、見事に自分の心情が表れているとしか言いようが無い。試合のないウィークデーであっても名古屋のことは心のどこかにはある。が、見ないようにもしている。そうする間にウィークエンドになっても強く見ない癖がついてしまったのかもしれない。日立に足を向けようなんて露ほども思い出さず。
さておき、柏戦。前節、若干の希望も見えたようには思うが、果たしてそれは、陽炎か。
フォーメーション&試合結果
柏レイソル |
0-0 3-1 |
1 |
名古屋グランパス |
サンドバッグ
サンドバッグだったと言っていい。相手は殴りたい放題に殴り、何の抵抗もなく殴られに殴られた。前半の話である。無失点は幸運という他ない。
サンドバッグはなぜ殴られ続けるのかを考えてみた。答えはすぐに出た。サンドバッグは殴り返してこない。カウンターは恐れることなくこちらの都合だけ考えればいい。つまり殴ることだけに専念すればいい。
名古屋にも同じことが当てはまるように思えてならない。ここ数節、気になること山積し、既に富士ではないか、そう感じてはいるが、この点が最も気になっていた。相手がまるで名古屋を恐れていないということである。
確かに戦術という話はサッカーの次元で検討すべき事項ではある。が、それ以前の話が片付かない。サッカーというものが、根源的には人間と人間の争いと言えるならば、つまり最先端のシステムや芸術的なスキルなどのスマートさではなく、生臭いプリミティブな闘争が土台にあると見るならば、相手を恐れさせない、警戒させないということはそもそも勝負を成立させない。
結局、何が言いたいのか。舐められたら終わりということが言いたい。それだけ言いたいがためにそれなりの文字を使ったと思ってもらえればいい。
舐めてくれ
舐められているのである。いや、それは当然とも言える。名古屋は自ら舐めてくれ、と頼んでいるのだ。
横浜から導入された5バックのシステムは、ほとんど専守防衛と言える。「まずは守備から」という言葉があるが、「まずは守備だけ」を体現している。5バックというシステムに欠陥があるわけではない。システムは使用者によりいくらでも姿を変える。
使い方である。繰り返すが、名古屋はこのシステムを守るだけという使い方をする。守るだけ、サンドバッグで言うところの受けるだけ、と同様の意味でしかない。構えからして恐れの構えと言い換えてもいいかもしれない。
加えて選手個々に目を向ければ、相手の顔色を伺うようにプレーする。予測することなく相手の動きが確定したところで対応する。当然、後手々々となる。自ら主導権を手放していると言える。
リスクを冒したくない選手の精神も理解できる。この状況である。が、これほどまでに自分たちを恐れる相手に対し、対戦相手が恐れる道理はない。結果、相手は楽な気分で攻撃し、次々と襲いかかる。名古屋の恐れは相手の潤滑油でしかない。
採点(名古屋グランパス)
前節の希望は微塵もなくなっていた。
GK 楢崎 正剛 6.0
ときにいいセーブを見せた。3失点も彼にできることは少ない。
DF 竹内 彬 4.5
ディエゴ・オリベイラに翻弄された。序盤は鋭い観察眼も見せ、3枚の真ん中に適正はあるように思う。が、対人で見せる戸惑いはセンターバックの資質として厳しい。
DF 大武 峻 5.0
出来は2級品のセンターバック。淡々と下がっての守備だが、かといって何かを成したわけではない。数えるほどだがチャレンジの姿勢もあったことは一応補記する。
DF 酒井 隆介 5.0
効果の薄い攻撃的センターバック。ドリブルでの持ち上がりはチームとしての使いようだが、連動性がないので単発でしかない。守備は相変わらずウォッチャーが多い。もはや癖。
DF 安田 理大 5.0
不安定。前節もそうだが、レベルの低いミスが多い。安定感が感じられず。メンタル的な問題か。
DF 矢野 貴章 5.5
自分の仕事を淡々とこなす。クオリティーに難があることも多いが、攻守にやるべきことをこなし続ける姿はプロフェッショナルと言ってもいいのではないか。
MF 明神 智和 5.0
ここ数節見せた攻撃の指揮権は放棄。主にディフェンスラインに呑み込まれることが仕事となった。
MF イ・スンヒ 5.0
同様に呑み込まれる。
MF 小川 佳純 5.0
存在感なし。何かに突き抜けるわけではなく、総合力に優れるタイプなので展開によって最も重要な選手に見えることもあれば、何をしているかわからないときもある。本日の小川は後者。
MF 田口 泰士 5.0
ミスが多く実力は還元されず。期待感を一番抱かせる選手ではある。
FW 永井 謙佑 5.5
一矢に絡んだ。が、それ以外の成果は薄い。ただ、使われ方が不憫とも言える。永井という選手は足がスーパーなだけであって、それ以外は並、もしくはそれを下回る。その選手に独りでどうにかしろと言うのは役者不足でしかない。
MF 川又 堅碁(65分~)6.0
元気ハツラツ。報いた一矢は、僅かな希望と取ることも出来なくはない。(もちろん単なる焼け石に、という捉え方もできる)それよりも、今の名古屋において恐れを持たない稀有な選手が復帰したということの方が重要事かもしれない。
FW 和泉 竜司(79分~)6.0
得点はほぼ彼のものと言っていい。短い時間で成果を出した。この選手も恐れが薄く、戦えていたひとり。
MF 古林 将太(91分~)採点なし
あとがき
次のステップに移る時期に来てるんじゃないですかね。いや、監督解任ってことじゃなく。名古屋はこれまで「理想→割り切り」とステップを踏んできました。次は「開き直り」じゃないですかね。4-4-2に戻し、選手が気持ちよくプレー出来るようにすることが次の一歩と思います。今は縮こまってるだけで、何も出来てないからね。
恐らくこの段になって監督交代は無意味に近いように思います。(ボスコ招聘は緊急時の代替監督だと穿った見方はしていますが)
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【ハイライト】柏レイソル×名古屋グランパス「2016 J1リーグ 2nd 第9節」