ロシアワールドカップ アジア最終予選 グループB 第5節
難敵サウジを撃破した。この勝利は日本を2位に引き上げた。つまりは折り返し地点で出場権に手をかけたということになる。
ただし、安泰ではない。勝点1差に4チームが群れる。苦手中東のアウェイを全て残してもいる。ロシアに向け、このサウジ戦は分岐点となったか。
フォーメーション&試合結果
日本代表 |
1-0 1-1 |
1 |
サウジアラビア代表 |
選考基準
本田、香川、岡崎が同時に開始の駒として採用されなかった。つまり試合に出ている選手が優先するというシンプルな基準が示されたということに他ならない。更に言えば本田が外れたことが特に大きい。これはスタメンの選考基準という法律が改正されたという確たる判例に等しい。
本来、スタメンの選考基準とは再現力が重視されやすい。適当な用語を使ったが、監督の描く戦術を実現せしめる能力を再現力とここでは定義しておく。
これ自体には試合をこなし続けているという要件は含まれない。再現力とは言わばカタログスペックに近く、選手からその能力だけを取り出したものとも言える。
これまで相当に状態の悪い本田を使い続けたことはハリルもまた、再現力を重視していたということに他ならない。本田のフィジカル、頭脳、そして強運という能力そのものを信じていたと言っていい。
健全な競争
本田、香川、岡崎が”同時”に外れる、ということは大きな変心と言える。再現力以上にコンディションや試合感の優先順位が上がっていなければ、このスタメンの説明はつきにくい。
それにより、このチームは健全な競争を取り戻したように見える。新顔選手たちの噴出するような闘争心は証左とも言える。これは間違いなく今の日本に必要なものだったと断言していい。
確かにこれまでも闘争心はあった。ただ、どこか鬱憤したような血行不良な闘争心だったようにも思う。精神的な捻れがあったとも言い換えてもいい。
スタメンの正統性を証明していない選手たちがいくら発破をかけたところで温度は上がりにくい。が、組織を優先する日本人のメンタリティーは不満を挙げることもまた押しとどめる。すると温度はむしろ下がり、心の芯では冷え切った選手が幾人かいただろう。
以上は全く想像である。ただ、遠くはないようにも思う。
健全な競争?
さて、ここまで健全な競争を取り戻し、それが必要だったと書いてきた。が、果たして本当に健全だろうか。ひと言だけ蛇足しておきたい。
繰り返すが、再現力を優先する采配は、監督として珍しいことではない。むしろ監督の主観的な再現力という評価でチームを作り上げることが監督の仕事だと言っても言い過ぎではないかもしれない。
翻って日本はどうか。監督の主観を通し切れないほどに高まる批判。そして、押し切る選択をさせてくれない一部選手たちの下がり切ったコンディション。
そう考えれば、今回の快勝はハリルがいくつかの監督の仕事を放棄したことで成り立っていると言えなくもない。本来、コンディション、試合感は主要な評価軸ではなく、足切りのための基準でしか無い。
これが果たして健全なのかどうか、という引っ掛かりは消えない。
あとがき
清武はまだしも、大迫、久保が岡崎、本田に勝ってスタメンを奪うというほどの説得力はまだないように思います。間違いなく本田、香川、岡崎の力が必要になるタイミングがあるでしょう。
首位抜けからプレーオフさえ逃す可能性がある現状は変わらず厳しい。が、一方でスリリングな状況は久々にワールドカップの壁を感じさせてくれると言えなくもありません。来年の日本代表戦も楽しみです。
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(2016/11/15) 日本vsサウジアラビア 2-1 ゴール&ハイライト