ブンデスリーガ 2017ー2018
武藤嘉紀に期待している。
日本人離れした身体能力。ただし、無茶が利く分、怪我は多い。保守的で堅実な思考の持ち主でもある。しかし、一方でステップアップは実に着実である。ただし、ここ最近は前述の怪我によって、その着実性は陰りをみせつつある。
が、今シーズンはやるのではないか。彼はやってやるのではないか。機は熟した感はある。なんとなくだが。そう思っている筆者は武藤嘉紀の現在地を確認するため、ブンデスリーガ第1節を観てみることにしたのだ。
マインツ |
0-0 0-1 |
1 |
ハノーファー |
下位同士の凡戦
一言で言えば凡戦以外の何物でもない。
昨シーズン15位のマインツと昇格組のハノーファー。まあ、そうそうエキサイティングな試合になるわけもない。そういうことに残念ながら観戦を始めてから気付いた。「かまへんかまへん、お目当ては武藤嘉紀や」と自分を慰める。が、ほぼ同時刻に行われている岡崎レスターを観るべきだったかぁ、という後悔がなかったとは言えない。いつも痛感するのは、観戦前に設ける期待値のハードルは適切に設定するべきだということだ。
さて、どうでもいい話は脇に置こう。まずはこの平凡な試合の感想を書きたい。
ブンデスリーガの下位クラブ対決である。どこか2部リーグの雰囲気が入り交じった試合だった。端的に言えば、フィジカル勝負。球筋の速さは流石ブンデスリーガと思わせるが、戦術的な面白みはほとんどない。面白み、というより工夫がないから面白くない、そう言った方が正確だ。
楽しむべきはアスリート的なフィジカル能力。そして、その能力を活かしたガチンコのデュエル。最後にゴールが入った、入らないという事実。
それが90分続くわけで、正直なところ、エンタテインメントとしては少し薄味と言わざるを得ない。これが我が愛するチームであれば、それでもいい。が、残念ながらマインツにもハノーファーにも特段の思い入れはない。というわけで見どころはまさに武藤嘉紀。でもそれは、大半の日本人にとって、言い過ぎではないはずだ。
マインツとハノーファー
マインツ、ハノーファーの両チームについても少し触れておきたい。
試合は敗れたマインツが優勢だったと言っていい。が、開幕戦であるがために戦術が煮詰まっていないのか、そもそも下位チームであるから戦術を持たないのか、ボールを持っても攻め手のバリエーションは少ない。裏へのロングボール、そしてサイドからのクロス、ほとんどの攻め手はどちらかだ。ごく稀にトップ下の10番からスルーパスも発出されるが、際立った選手とも感じなかった。
一方のハノーファーも形があるわけではない。ただ、カウンターがあるのみだ。実際、唯一の得点はカウンター気味の形で奪取したが、それ以外に筋の良い攻めは皆無だったと言っていい。
繰り返しになるが、戦術性は薄い。J2よりも薄いと言い切ってしまってもいい。
結果だけが求めらられる武藤
前述のようにマインツには工夫された戦術は薄い。故に武藤の役割も複雑ではない。
ワントップに入る彼は、ディフェンダーの背後を狙う動きを求められる。DFラインからスペースに蹴り込まれるロングボールからチャンスを作らなければならない。クロスに対しても最良の得点を獲れる位置取りが必要となる。少なくとも楔に入るようなプレーや、ゴリゴリとドリブルするような動きは積極的に求められているようにみえなかった。
つまり一発で得点を奪えるストライカーとして求められている。しかも下位チームに必要とされるストライカー。そこに最も必要な資質は決定力だろう。というより唯一求められている資質かもしれない。昨シーズン、それはモデストというフランス人が担っていた。
しかしこの試合で彼はその要求をこなせていない。少なくとも2度、得点を奪ってもおかしくない場面はあった。その点、武藤はこのチームにとって物足りない。
が、一方で武藤はこのチームには良すぎるとも思うのだ。なぜなら器用さで言えば武藤は図抜けているようにみえる。シンプルな役割よりもっと複雑な役割をこなせる選手なのだ。確かな技術もある。もう少し上のクラブでも活躍できるはずだ。
もちろん、それには実績が足りない。その意味でこの試合で数度訪れた決定機をものに出来なければキャリアは描けない。まずは今シーズン、結果を残すことが何よりも優先されるのだとわかった開幕戦だった。現状であればしばらくワントップのレギュラーは堅いだろう。時間のあるうちに結果を残したい。
■ブログランキング■ 【気が向いた時にでもポチってください】 |