明治安田生命J1リーグ 1stステージ 第12節
【マッチプレビュー】
共に中位を彷徨うクラブ。何よりも重要なことは勝点を得ること。負けて降格争いに足を踏み入れることだけは避けなくてはならない。
負けないこと。その想いがより強いのは間違いなく甲府だよね。それは、地方クラブとして「降格」が最も避けたいことだから。一方で大都市圏に居する名古屋は「理想のサッカー」を追い求める。どちらも最もなことだし、それは正しい。
ただね、勝点という「状況」は同じなんだよ。だからこそ、名古屋は強い気持ちを持って挑まなければならない。「降格」という具体的な目標を持つ甲府に「理想のサッカー」という霧だか、霞だかわからないものを掲げていてもね。生半可では勝てないよ。
フォーメーション&試合結果
ヴァンフォーレ甲府 |
0-0 2-2 |
2 |
名古屋グランパス |
策が無さ過ぎた名古屋
ヴァンフォーレ甲府ほどわかりやすいチームも少ない。人数をかけて守り、ゴール前では自由にさせるスペースを与えない。ボールを奪えば、クリスティアーノに預け、彼の個人技に期待する。それをひと言で表せば、しっかりと守ってカウンターである。
すると考えねばならないことは、おのずとふたつに絞られる。ひとつは「クリスティアーノを如何にして止めるか」、もうひとつは「分厚いゴール前の守備網をどうこじ開けるか」。
しかし名古屋は、このふたつの問いに明快な答えを示すことはなかった。ボールはある程度楽に前へ進めるが、分厚い最終ラインを破るには至らず。2つの得点を奪ったとはいえ、セットプレーとパワープレーでしかない。また2つの失点はどちらもクリスティアーノからチャンスが生まれており、分かっていてもエースを止められなかった。
もちろん、選手も敗戦の責は負うべきだ。しかし、この日に限っては指揮官が負うべき責がより重い。なぜなら名古屋はあまりに無策過ぎた。いや、無策のように見えた。
監督と選手の信頼関係は継続しているか
無策のように「見えた」と表現したのは、試合後の監督インタビューによる。指揮官は、チームの狙いが全く表現できなかったと語った。つまり何かしら「手」は用意していたということなのだろう。
だがしかし、チームが狙いを表現できなかったことそのものもまた、監督の失策であろう。その意味で指揮官の責が重いことには変わらないし、結果論的に語れば無策と片付けても支障はないように思う。
関連して気になる点がある。開幕当初、指揮官は敗れた理由を全て自分の責任だあると語った。だがいつしか、敗因に「選手が役割を全うしていない」というニュアンスが含まれるようになったやに感じる。
明るいキャラクターで選手を掌握していた小倉監督だが、調子が上向かない状況で選手の心が離れていないかを気にしている。杞憂であれば良いのだが。
採点(名古屋グランパス)
GK 武田 洋平 6.0
2点目はボールに触れていたのでなんとか掻きだしたかったが責められるものでもない。試合出場が続き、安定感は増してきたように思う。
DF 竹内 彬 6.0
守備に特筆すべき点はないが、終盤のパワープレーで供給したロングボールは悪くなかった。同点弾につながった。
DF オーマン 5.5
クリスティアーノに対して数回スピードという脆さも出たが、その点はチームでフォローすべき。それ以外は無難にプレーした。
DF 矢野 貴章 5.5
守備ではクリスティアーノに手を焼いたが、攻撃はそれなりに積極的だった。
DF 高橋 諒 5.5
後半は多少攻撃で存在感を出したが、今日の試合展開では、もっとやれなければ物足りない。
MF イ・スンヒ 5.0
いつものように守備のフィルターという役割を全うできなかった。クリスティアーノは、ポジションが比較的自由であるため、彼一人で対応できるものではないが、であればもう少し攻撃で貢献すべきだった。
MF 田口 泰士 5.5
ひところに比べ、効果的なパスが少なく、ミスも散見される。相手を押し込むような展開だけに攻撃に意識がいくことは理解するが、味方のフォローに対する意識もいつもに比べ薄かったように感じる。期待値が高いだけに評価も厳しくせざるを得ない。
MF 永井 謙佑 5.5
永井を起点に何度か良い攻撃は見せたが、いつも通り持ち味は発揮できなかった。今シーズン、永井の持ち味が発揮できた試合は数えるほどしかない。
MF 野田 隆之介 5.5
それなりのプレーはしていたが、怪我で離脱している和泉、もしくは従来のスタメンである古林に代わって出場した意義、つまり彼である必要性は表現できなかった。
MF 矢田 旭 5.0
運動量やプレー自体は悪いものでもなかった。ただ、トップ下として、甲府の最終ラインと中盤の間でボールをキープする必要があったが、あまりボールが収まらなかった。難易度の高いミッションではあったが、役割は全うできず。
FW シモビッチ 6.0
珍しく存在感が薄かったが、結果を出すところは流石。この試合は、相手陣内までボールを楽に運べる展開だったため、ロングボールが少なかったことも存在感が薄かった一因。ただし、得点以外にはほとんど仕事をしていないとも言える。
MF 古林 将太 5.5(59分投入)
本来であればMOM級の活躍だが、どうしても気になる点があったので評価を低めた。まず、ロスタイムに決めた同点弾。時間がない中、ゴール裏に喜びを表現しに行ってしまったこと。そして、同じくロスタイムのプレー。全く可能性のない超ロングシュート(ロングパスだったのかもしれないが、判然としない。であるとしても大きなミス。)を放ったこと。逆転を狙うロスタイム、彼は同点で満足してしまったのか?
FW 川又 堅碁 5.0(70分投入)
交代で入ったが決定的な働きはできず。
MF 大武 峻 採点なし(91分投入)
あとがき
同点に追いつけたことはラッキーでしかなかったよね。3枚のカードを切った甲府に負傷退場があって、数的優位になったからこそ奪えた同点弾と見ることもできる。
本文に書いたように名古屋は特段手もなく破れかかった。手がない上でのパワープレー。じゃあ始めからパワープレーでいいじゃん。それに案の定、気持ちの面でも甲府に及ばなかった。
次回は、見せてくれるよね?ね?
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【ハイライト】ヴァンフォーレ甲府×名古屋グランパス「2016 J1リーグ 1st 第12節」