開幕戦、昇格組の磐田に勝利した名古屋。
とは言え、盤石の勝利だったわけではない。幾分の運を味方にしつつ手に入れた幸運な勝利だった。
第2節の相手はディフェンディング・チャンピオンのサンフレッチェ広島。公式戦3連敗中という調子の上がらない相手ではあるが、チームが固まっていない名古屋にとっては、重荷となる相手だ。
今の名古屋は勝つことでチームが習熟していける。いや、負けが込めば徐々にチームがバラバラになりかねない、そんな危うい状況にいると思う。なんとか勝利を収めてほしい。
新米監督は何かとつらいよね。ホーム開幕戦、今日も頼むよ、オグ!
フォーメーション&結果
1-1 0-0 |
1 |
【前半】ゲームプランが明確な名古屋
引いて守ってカウンター
ディフェンスラインはペナルティーエリア付近まで引く。FWがプレスをかけるのは敵が自陣に入ってから。陣形はコンパクトに保つ。選手は自分のポジションを大きく離れず、穴になるスペースを作らない。
強固なディフェンスブロックを作って、カウンターを狙う構えだ。
個人的には今後もカウンターを磨いていってほしい。名古屋はカウンター向きの人材が完璧に揃っているので、今の選手達を一番活かせる戦術だと思っている。
一方、広島の戦術はおなじみだ。
右のミキッチ、左の柏を中心にサイドからの攻めを狙う。名古屋のDFラインが低いので、ロングボールから一発裏へ通すパターンは封じられているが、やはり完成度は高い。
完璧な先制点
序盤の名古屋は狙い通りだったと思う。
「ボールを持たせていた」というほど余裕はなかったものの、広島の攻撃に対応できていた。前半15分までの広島の支配率は70%だが、その数字ほどピンチはない。
ただ、名古屋も明確な攻めの形が見えない。偶発的なコンビネーションに頼るカウンター気味の攻撃のみが生命線のように映る。
しかし、前半17分、名古屋が先制する。
お手本のような名古屋のカウンターが炸裂。攻め手がないなぁ、なんて思っていた矢先に本当に完璧なカウンター。わからんもんだよね(笑)
痛すぎる同点弾
名古屋の得点以降、試合は活性化するが、どちらもミスが多く、次の得点が入らない。
名古屋は、先制点の勢いで追加点をあげ、息の根を止めるべきだった。
そのチャンスはあった。が、ここで追加点を取れないのが今の名古屋の力なのかもしれない。それでもカウンターの精度を高めていけば、降格に怯えるようなシーズンにはならないだろう、という希望は見せてくれたように思う。
前半終了間際、広島がついに同点弾。
広島のサイド攻撃になんとか対応できていた名古屋だが、この場面ではミキッチを上手く使われてしまった。起点となるパスを出したのはウタカだけど、この選手、かなりゲームを作れるね。
そして、この同点弾は広島を落ち着かせてしまった。
恐らくこの時点で名古屋の勝ちはなくなったんだと思う。普段通りのボールを回し始めた広島は、やっぱり王者だった。
【後半】サンドバッグになった名古屋
カウンターの応酬
後半、名古屋は、我慢の展開。
守備が少しずつ甘くなり、広島のサイド攻撃を抑えきれなくなってきた。合わせて広島はセンターバックの攻撃参加が増えてくる。
後手後手にまわる名古屋は、せっかくボールを奪っても、ミスパスでボールを繋げない。わざわざ自分たちの首を絞めるような展開。
奪ってカウンターを仕掛けようとした矢先に再度ボールを奪われて、カウンター。見てる方もミスの多さにげんなりだけど、やってる方はきっともっとげんなりだよね(苦笑)
「戦術 シモビッチ」発動せず
ひとつ疑問なのは、この苦しい展開で、なぜ「戦術 シモビッチ」を発動しないのか。
開幕戦では終盤、割りきってシモビッチにボールを当てたけど、それが機能した。今日のように押し込まれまくっている展開では、出来る限り自陣からボールをかき出し、時間を作りたいはず。もう少し、シモビッチを使っても良かったのではないだろうか?
とは言え結果的になんとか耐えしのぎ、結果はドロー。
広島相手にドローは悪い結果とは言えない。でも、カウンターに一定の威力があっただけに、場合によっては勝てたなー、という気持ちも拭えないよね。
動きが悪かった広島
前半の広島は僕がゼロックスで見た広島ではなかった。
決して運動量が少ないわけではないものの、分かりやすい動きが多く、敵が捕まえきれないような動きがあまり見えなかった。これが連戦による疲労なのか、3連敗が原因なのかはわからない。
しっかりブロックを作った名古屋は対応しやすかった。まだまだ完成度の低い名古屋が広島相手に善戦出来た理由だと思う。
ACLの連戦が一段落すれば、いつもどおり広島は徐々にペースを上げてくるだろう。そういう意味では名古屋はこのタイミングで対戦できてよかった。
採点(名古屋グランパス)
GK 楢崎 正剛 6.0
確かにいくつか危機は未然に防いだ。ただ、いつもの安心感が薄く、キャッチングや飛び出しに迷いがあり、何度かヒヤッとさせられた。理由はわからないけど、致命的なミスにつながらず良かった。
DF 竹内 彬 6.0
広島は強引に中央を割ってくる選手が少なかったので、真ん中の対応は難しくなかったように思うが、しっかり守れていた。サイドからのクロスにも無難に対応。
DF オーマン 6.5
「高い」は正義だ!今日はそんなフレーズを思い知らされた。守備を見ていると不器用さが垣間見れ、ハラハラさせてくれるけど、いるだけで邪魔。いや、当然ポジショニングが出来ているということは理解しているんだけど、あまり機敏に動かないもんだから、いるだけで邪魔!の方が腑に落ちるんだよね。空中戦にそこそこ強い姿も今日は見せてくれました。
DF 矢野貴章 6.0
戦術から攻撃は自重。特に前半は古林と連動し、左サイドの柏を自由にさせなかった。終盤は何度かやられたものの、全体が間延びしていたので、致し方ない部分もある。減点対象にはしない。繰り返しになるが、攻撃面の貢献は少ない。
DF 安田理大 6.0
矢野同様、左サイドも攻撃は自重気味。ミキッチとのガチンコだったけど、五分の勝負には持ち込めた。今日のミキッチはなかなか手強い相手であったため、十分に守備で存在感を見せたと言える。安田の守備、侮れんといった印象。
MF イ・スンヒ 6.5
これまでのプレーと異なるのは、何度か前線に顔を出した点。攻撃への関与は田口よりも多い。守備面でのボール刈り取りも、より増えてきたような印象を受ける。名古屋はなかなかいい補強をしたな、と思える活躍が出来るようになってきた。
MF 田口 泰士 5.0
正直今日のプレーは物足りない。ミスが多く、そのせいでチームがリズムに乗れなかった部分はある。ゲームをコントロールする役割なので、当然田口のミスでチーム全体に影響をおよぼすことを自覚してほしい。特に前半は運動量も少なく、守備でも効果が薄かった。
MF 矢田 旭 6.5
開幕戦が自信になったのか、落ち着いたプレー。今日の名古屋で唯一ボールが収まるプレイヤーだった。小さい体でボールをよくキープし、いつもの通り運動量も豊富だった。今名古屋で一番成長を期待できる選手かもしれない。
MF 古林 将太 6.5
前半は守備を重視し、右サイドをしっかり封じた。その中で少ないチャンスから完璧なクロスで先制点をアシスト。ただ、左の永井が高い位置取りをするため、守備重視に奈良座るを得ないのかもしれないが、もう少し攻撃に関与してほしいと思うのは欲張りか?
MF 永井 謙佑 6.0
毎度評価が難しい選手。ファインプレーと凡ミスの差が激しすぎる。永井にしか出来ないようなプレス、ぶっちぎるドリブルを見せたかと思えば、無謀にDFに突っ込み瞬殺されることも多々。上手いパスを出したかと思えば、どうでもいい横パスを奪われる。スーパープレーも多いだけに悔やまれる。
FW シモビッチ 6.5 【MOM】
今日は足での得点。守備時にはしっかりと戻ってくるので、守備面の貢献も高い。前節に比べ、ロングボールの的になるような場面は少なかった。前述したが、もう少しシモビッチにロングボールを当てても良かったように思う。俺たちはまだ「シモビッチ」を使い切っていない!
FW 松田 力 5.5
シモビッチとのコンビネーションは、矢田に軍配。試合の流れは変えられなかった。
監督 小倉 隆史 6.0
広島対策を練りに練って挑んだような布陣。勝点1は今の名古屋にとっては、期待以上と言えるのかもしれない。が、後半のサンドバッグ状態で何か手は打てたのではないのだろうか?
まとめ
結果には満足するしか無いよね。
ブログを書いてて思ったけど、今日のミスの多さからして広島から勝点1を奪えただけでも御の字なのかもしれない。
次回、川崎戦は現地に観戦に行く予定です!