明治安田生命J1リーグ セカンドステージ 第6節
【マッチプレビュー】
クラブワースト13試合勝ち星なし。前節甲府に敗れ、2ndステージの順位は遂に最後尾に。そして、年間順位は16位。降格圏まっただ中。
背水の陣というより、既に水に浸かっていると思ったほうが正しい。久米社長に絶対に代えないと言わせる小倉監督は、如何にしてこの苦境を脱するのか。
フォーメーション&試合結果
横浜F・マリノス |
0-0 0-0 |
0 |
名古屋グランパス |
守備に割り切った名古屋
名古屋は実に守備的な戦術を採用した。3枚のセンターバックを並べ、ダブルボランチは明神、イ・スンヒの守備を主務とする2人。サイドハーフの安田、矢野は本来サイドバックである。表面だけ見てみれば、守備の人は8人を数える。
この試合、割り切れなかった名古屋が遂に割り切ったと言える。中身はこれ以上無いほどに守備に振れ切った布陣である。
まずは失点を減らすところから、という考え方は正しい。その正しさはあらゆる国々で力を持たない弱者たちにより証明されてきた。よって、現状弱者たる名古屋がこの策を用いることもやはり正しい。そして、事実、失点の抑止という効果を挙げ、勝点1という成果を得た。
しかし、それが何なのだろうか。対処療法でしか無い。今の名古屋は人垣を築いているだけに過ぎず、守備組織が構築されたわけではない。自陣を固めればスペースが埋まり、当然に相手は攻めにくい。が、それはサッカーの理屈というより、物理の法則と言う方がより近い。
そんな思いが去来して、どうにも心は晴れない。例えば稀代の司令塔、中村俊輔がいれば果たして無失点だったのか。横浜の拙攻に助けられただけではないか。いずれ力のあるチームにこじ開けられ、最後の拠り所さえ、へし折りに折られるのではないか。
攻撃の割り切りは未だ未着手
一方で攻撃は未だ割り切れない。確かに「シモビッチの頭」という武器を重要視する姿勢は引き続き感じる。感じるが徹底ではない。
この試合は堅守を標榜する表明と捉えた。であれば、それに付随する言葉は速攻しかない。にも関わらず速攻の中でシモビッチに何をやらせたいかは見えにくい。
今のシモビッチの使われ方は今までどおりビルドアップのそれである。選手もそれ以外の方法論を持たない。策が授けられているようには見えない。
つまりシモビッチの活かし方は依然として定まらない。一度本当にシモビッチが武器であるのか、最良と思える布陣をまっさらから考え直すことが必要なのかもしれない。
小倉監督は必要か
ここまで書いてきて、浮かび上がるものはある。当然、小倉監督を据え続ける意味である。
この試合について言えば、名古屋という比較的恵まれた環境にあって、弱者の兵法を採用するという決断をしたことは褒めていい。もちろんこの褒め言葉のうち、多くは皮肉で構成されていると思ってもらっても支障はない。
逆から見てみる。この試合でようやく理想と決別する決断をした。既に降格圏であり、遅すぎるほど遅く、しかも、そこには苦境から脱する解法は存在しない。凡庸な、誰しも思いつく戦術であり、それは戦術ですら無い。厳しく言えば、指揮官は、ただ機を逸した決断だけをした。
試合後、週が空けた月曜日。クラブはボスコ・ジュロヴスキーアシスタントコーチの就任を発表した。監督の手の無さをクラブ自ら晒したと捉えられなくもない。
そうまでして指揮官を留める理由は何か。いくつか思いつかなくはない。ただ、まずは、日曜日のサポーターズミーティングの議事録を待ちたい。
あとがき
マシな試合であったとは思います。ただ、マリノスに決定力がなかっただけにも見えます。人垣は所詮、人垣です。並べるだけでは戦術とは言えません。
さて、次節は2週間後。攻撃も含め、もう少しこの戦術を煮詰めてほしいところ。ボスコが人垣を城や石垣に変えてくれる冴えた案をひねり出してくれることを祈りましょうか。
【8/3 追記】
すんません、次節は普通に1週間後、サンフレッチェ広島戦でしたね。僕は何を見ていたのだろうか…
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【ハイライト】横浜F・マリノス×名古屋グランパス「2016 J1リーグ 2nd 第6節」